妻の涙のわけ。
「ほんとに、いままでよく生きてこれたね」
僕の妻が「劇場」めっちゃよかった。涙が止まらなかったって言うから、東京で一人の時にこっそりと観ました。
妻は僕のめんどくささを結婚当初からすべて受けとめてきてくれたし、僕のもがく姿を13年間一番隣でみててくれたから、「ながくん」の姿と「さきちゃん」の気持ちが心の中にかすったんだと思う。
僕は、クズ男です。クソみたいなやつで、なにも成し遂げてないし、なにも頑張ってないし、娘の横でおねしょしちゃうようなだらしのないやつで。
それでも「あなたは頑張ってる」っていう妻が不思議に思う。
僕は本当に生粋のクズだ。
若い頃の自分にもこの「ながくん」が重なって、やけに苦しく懐かしく思ったこの映画。
最後はよくあるハッピーエンドじゃないんだけど、僕には「別れ」がハッピーエンドに見えた。
あの時の彼女と僕は別れたからこそ妻と出会えたと思うと、その別れはハッピーエンドになるんです。
あの時の彼女ほど、僕のクズっぷりを目の当たりにしてぶつかった人はいない。
誕生日にスロット屋につれていき
彼女の家に居候し
根拠のない自信で夢みがちで
挫折を世のせいにして
答えが見えなすぎる毎日に唾を吐きかけ
心が虚無感に襲われると彼女を抱きしめた
まるで「ながくん」じゃないか。
「ほんとに、いままでよく生きてこれたね」
僕自身そう思うし、妻も僕をそう思いながら何度も抱きしめてたと思う。
今となってはこのめんどくさすぎるほどのめんどくささが仕事になり価値になり始めているんだけど、なにものにもならなそうなここに微笑みかけ続けた妻は、本当にすごいと思う。
何人もの人が離れていった中で
ずっと。ずっと横で僕をみている。
じっと黙って見てくれてる。
装飾品のように煌びやかでもないのに
裏っ返すとヒビが入ってるような不完全な模倣品みたいなヤツなのに
妻は笑いながら、微笑みながら
それを大切に飾ってくれてる。
こんなめんどくさいやつでごめんとしか言いようがないんだけど、偉そうに言うのであれば
あなたが選んだその選択を貫いたからこそ
今ここに”幸せっぽいもの”があるんだよ。
僕はクズでクソやろうだけど
満足であることには間違いない。
誰かを幸せにしてやるなんて大それたことは言えないけど、僕は君といると幸せなんです。
妻だけじゃなくて、僕は、君といると幸せなんです。
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