不思議な現象に出逢いました。
自信が、なくなりました。
なんとなく過ぎ去る時というものを風のように感じていたあの思春期というか、”アオハル”というかの頃ってただただ根拠のない自信があって、理由もないのに
俺にはもっとすげーことができる
って思っていた。
思っていただけで結果が伴わないから、目の前の風を殴りつけるんだけど、次第にリアルと感情とが作り出す未来の”雨”とか”晴れ”とかを感じ取れるようになると今度は
根拠のある自信が芽生えた。
その自信を持って今度は風に向き合うんだけど、その自信が明日や明後日には通用しないことが分かると今度はもっともっとと自信をつけようとした。
時に形ばかりを作り、粘土細工で塗り固めた煌びやかで嘘っぽい自信で明日を生きようとしていた。
でもやっぱり嘘は嘘でしかなくて、偶像は偶像でしかないことに自信を奪われそうで。
手の届かないものばかりに手を差し伸べていた僕は、一番大切な足元、いや、自分のすぐ後ろにあった”影”に気づいた。
影が僕を作り出していて、影の前に僕は立っていて、光の当たる後ろにはいつも影があって。
風が僕の身体を通過する時、実は影が僕を支えていたことに気付いた時、手の届かないものではなくてその後ろにいた自分に向き合った。
とても苦しかった。弱さやダサさなんかみたくない。カッコ悪い影なんかって思ったけど、やけに清々しくて愛おしい自分に出会えた気がした。
光と影が重なった日。
塗り固めた粘土細工が壊れた。
隠すものがなくなったと同時にあの
自信
も一緒に消失してた。
自信があるとかないとかではなくて、僕は僕という人間をただただ受け容れたことで満足感で満たされた。
自信なんてものは保身でしかなくて
自信なんてものはは言い訳の材料でしかなくて
自信を失った時
僕はようやく一つになれた気がした。
光と影が一つになった気がした。
誰かを押さえつけるために持っていた権力欲が、薄っぺらい自信という言葉で書き換えられていただけで、自信もなにもなくなった時に、他人との垣根がスッと消えた。
そんな不思議な現象にいま、出逢えたんだ。
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